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見舞金や香典は賠償金の支払いなのか?

人身事故、しかも死亡事故だと多額の賠償金が発生してしまいます。損害賠償金はもちろん支払うべきものですが、この時に気になるのが見舞金や香典などです。

 

例えば、1000万の損害賠償金が発生したとしましょう。その際に見舞金や香典に合計で100万を支払って居たとします。見舞金や香典は除外した上で1000万なのか、それとも差し引いて900万を支払うことになるのか、ここが問題です。

 

基本的に見舞金や香典は社会的な礼儀として行うものです。礼儀とは別に損害賠償金があるのですから、別と言う考え方もあるでしょう。しかし、加害者に必要以上の負担を与えない損益相殺の法律は存在しています。見舞金や香典が法的にどう判断されるのか見てみましょう。

 

まず、見舞金や香典には相場の金額が存在しています。この相場を大きく上回る金額を渡していた場合は、損益相殺の対象となりやすいのです。


例えば見舞金は1万程度が相場と言われています。高くても3万ぐらいでしょう。そんな中、見舞金に50万を包んだとしたら、それは損害賠償の金額から差し引かれる可能性が非常に高くなります。


もしこれが、見舞金に1万しか包んでいなければ、一般的な礼儀の範疇を超えないと判断されて損益相殺にはならないでしょう。見舞金の相場を大きく超えていれば、損害賠償金の一部とみなされるのです。

 

一方、香典は少し扱いが違っています。香典の相場は1万から3万ぐらいですが、それを大きく超える金額を渡しても損益相殺の対象にはなりにくいのです。被害者の悲しみを軽減するために支払うものであり、金額に関わらず損害賠償とは別と考える傾向があります。

 

過去の裁判例では、100万の香典を損益相殺の対象外とする判決が下りました。このような事例から見て、香典と損害賠償金は別物と考えるのが良いでしょう。見舞金は相場を超える金額なら賠償金の一部と判断されますが、香典は別として扱われます。


お金を渡す方法が違うだけで、大きな差が生まれるので覚えておいてください。