日本一の弁護士を目指す法律系ブログ

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法的に効果のある遺言書の遺し方とは

「遺言」と聞くと死をイメージしてしまうので、多くの人はあまり真剣に考えないものですよね。しかし、人が亡くなった瞬間から「相続」は発生します。相続という金銭が絡んだ問題では、遺族がもめることも多々あります。

 

前は仲が良かった兄弟も「相続問題」で犬猿の仲になってしまった・・・なんていうことも聞かれる時代です。お金が絡むと人間性まで変わるなんて寂しい気もしますが、こういったことを考えると「遺言書」を遺すことは、すごく重大なことと言えます。

 

◎適当に書いては法的に無効になる

遺言書は気になったことを書くだけでいいの?と考えている人もいますが、正式な書き方があるので適当に書いては無効になってしまいます。法的に有効な「遺言書」には3つの種類があるのです。

 

・自筆証書遺言

自筆なので全部自分で書けばOKです。書き方さえ間違わなければ、法的にも有効です。

・すべて自筆で記入する
・日付を入れる
・名前を記載して、印を押す
・封をする

 

ただ、せっかく遺言書を遺していても、家族が見つけてくれなければ、そのまま時が過ぎていくことになるのですよね。見つけられた時には、何年も経過していた・・・なんてこともあるくらいのようです。

大事な家族が亡くなって「遺言書が見つかった!」という時、どうしますか?すぐに開けてしまったりするのはNGなのです!注意しましょう。裁判所を通じて「検認手続」をしなければいけないという問題もあります。

 

・公正証書遺言

自分で遺言を書くと記入漏れがあった場合には、せっかく家族のために残した遺言書が無効になってしまいますよね。でも公正証書遺言なら自分で書かなくてもOKです。それに、公的機関である公証人役場で保管してくれるので紛失してしまう心配がないというところが魅力と言えます。自宅に保管する自筆証書遺言は紛失の心配だけでなく、改ざんされてしまうリスクもあるのです。その心配がいらないのが「公正証書遺言」の魅力ですね。

 

メリットが大きそうに見えるこの作成方法。しかし、ここで気をつけたいことが・・・。

 

公正証書役場で遺言書を作る時に、2人以上、証人を連れて行かなければならないのです。そのため「秘密にできない」というデメリットもあります。その人達には、遺言の内容がバレバレということになってしまうのですよね。どの人を証人にしようか、ということについては、よく考えなければならないのではないでしょうか。

 

・秘密証書遺言

文字通り遺言の内容は「秘密」にできます。自分で記入した遺言書に、署名、押印して封をします。これを公証人役場に持っていきます。これも証人が2人以上必要ですが、中身を見られる心配はないので安心ですね。

 

それに、自分で書くと言ってもワープロでもOKなので、自筆証書遺言よりは楽なのではないでしょうか。自筆証書遺言と公正証書遺言のデメリットをメリットに変えた感じの雰囲気もしますよね。

 

ただし注意ポイントもあります。

・公証人役場で手続きが完了したら、自宅に持ち帰って保管する
・自宅保管なので発見されない、紛失してしまうというリスクもある
・検認手続きが必要

 

3種類の遺言形式を見ていくと、メリットもデメリットもそれぞれで、一概にどれがいいということは個人個人で違うものですよね。ただ、せっかく家族に遺言を遺すなら、法的に無効にならないように気をつけることも必要のようです。