日本一の弁護士を目指す法律系ブログ

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亡くなった人の事業は相続できるのか?

相続というのは亡くなった人の財産を引き継ぐものですが、相続財産としてすぐに連想するのは不動産・株式・現金などです。相続人がこれらのものをそのまま引き継ぐというのは特に問題はありません。

 

では何か事業をしていた人が亡くなった場合には、事業が相続の対象となるのでしょうか。

 

 

事業というと回りくどい言い方ですが、ここでは会社経営のことを意味します。人は自然人というのに対して、会社は法人といい法律で人格が認められた存在です。つまり、会社を経営していた人は自然人であって、法人である会社とは別の存在になります。会社というのは財産ではなくて法律いよって人格を認められたものですから、相続によってそのまま相続人に引き継がれるということはありえないのです。


もっとも会社が所有している不動産や売掛金などの債権、さらには借金もあります。財産と呼べるようなものもあるのですが、それらはあくまでも会社のものなのです。亡くなった人のものとは法律上は言えず、亡くなった人は会社の株式を所有していたにすぎません。

 

もちろん株式は相続人に引き継がれます。このあたりのところは法律に詳しくないと理解しにくいところかもしれませんね。よくある勘違いとしては、亡くなった人が会社の経営者だったら会社のものは何でもかんでも相続できると思ってしまうことです。法律は個人と会社とは完全に分けて考えているということには注意したいですね。


ここまでは会社についての話でしたが、亡くなった人が個人事業主の場合は通常の相続と同じようになります。個人事業主というのは会社組織を持たないで事業を行っている個人のことです。事業をするために所有しているいろいろなものが相続の対象となって、相続人へ引き継がれます。


例えば、土地や建物といった不動産、工場で使う機械や、販売するための商品や原材料などは相続されます。これらはいわゆるプラス財産ですが、マイナス財産を亡くなった人が抱えている場合もあります。

 

典型的な例が借金や売掛金ですが、個人の場合はこれも相続で引き継ぐことになるのが原則です。会社の場合は借金はあくまでも会社のものですが、個人の場合はそういうわけにはいきません。素人感覚でいうと、どっちも事業をしているのだから同じじゃないかと思うでしょうが、法律ではきっちりと扱いが分けられているのです。