医師と弁護士の「他覚的所見」に関する考え方の違い
交通事故の被害者になって、後遺障害の等級認定を希望するとき、必要になることはどんなことでしょうか?
そうです、それは医師による後遺障害診断書です。
基本的に後遺障害等級認定は、医師が診断の中で他覚的所見を示し、この患者には後遺障害があるということを示す必要があります。
医師が他覚的所見を示し、明らかな後遺障害があると診断されれば、自賠責保険における後遺障害等級は認定されます。
そこで、ここで問題になる「他覚的所見」とは何か?ということをご説明します。
一般には、医師が画像診断を行って後遺障害を認めた場合の、その画像診断による所見を意味しています。
つまり、レントゲンやMRIなどの診断を行って後遺障害があることを医師や弁護士が認める、ということが他覚的所見ということになります。
しかし、この他覚的所見については、医師と弁護士の認識ではズレがあることを知っておかなければなりません。
医師にとっては画像診断による画像所見が他覚的所見ですが、弁護士の場合は必ずしもそうではないということです。
弁護士にとってはむしろ、自覚症状があればそれも他覚的症状として肯定されると考えています。
この他覚的所見の相違があるのですが、交通事故の被害者になったときは、弁護士に依頼したほうがいいのです。
なぜなら、もし他覚的所見がなくて自覚症状だけであっても、弁護士の指導のもとで通院を行えば、後遺障害診断書の自覚症状の欄に、必要な症状を記載してもらうことができるからです。
そしてこの記載がある場合、他覚的所見がなくても後遺障害認定が受けられることに繋がるのです。
本当にそんなことが起こりうるのかと思われるかもしれませんが、実際にこうした事例はあり、画像診断から他覚的所見ができなかった患者が、弁護士のアドバイスを受けながら通院を行った結果、自覚症状だけで後遺障害認定を受けられたということが起きております。
このように、法律の知識をもった人間(弁護士)に依頼するかしないかで、交通事故補償における結果を大きく左右する可能性があるということがお分かりになるでしょう。