日本一の弁護士を目指す法律系ブログ

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2015年の改正医療法

近年、地方部や、都心周縁の地方では、大型病院の統廃合、人員の確保ができないといったことによる廃止、またこれまで国立病院が古くよりあった地域における、独立行政法人化後の廃止などの表明が相次いでおり、該当地域では、質の高い医師やスタッフのみならず、一定以上のレベルを維持した診療体制や設備そのものの配置存続が難しくなっています。

 

もとより、地方部などでは、唯一診療が受けられる、それら大型の旧国立病院などのその地域での拠点病院まで出かけるために、100キロ以上の非幹線道路利用や、その移動に公共交通機関を使うと、早朝に出発してもそれより倍近い距離や時間がかかり、事実上1日を棒に振るなどの状態であったところに、さらなる廃止で、「通院のための住居の新規獲得」などを強いられているケースが、”全国各地で実に多く見られています” 。

 

今回の改正医療法では、新たな病院組織を経済面で支える制度が成立し、自治体や医師会などでこれまで公共あるいは半ば公的に行っていた「箱と組織の整備」に目を向けた制度新設となっています。

 

先日可決された、改正医療法についてみていきます。

 

■2015年改正は、地域でかたよりのある組織の連携や、融通を促すもの

 

・新たに「地域医療連携推進法人」という制度が創設されます。

病院等の「非営利法人の」医療機関が本地域医療連携推進を進めている場合には、都道府県知事の認定を受けることができます。その際に、これまでには行えなかった、介護事業など、地域包括でのケアシステムの非営利法人をその中に含めることが可能となります。

 

・病院等の機能の分担・業務の連携に必要と認めるときは、地域医療構想上必要である病院間の病床の融通も今回みとめており、空白地においての「中央側が想定していなかったと主張する社会上の機能」を、地方側で自力で維持や再配置させる、若干の柔軟さを付加させています。 

 

・同制度下の法人内では、共同での職員研修や資金融通、医薬品等の供給などが可能となり、これまで緊急に必要な医薬品や、あまり数の出ないものなどについて、毎回業者経由にして融通していたものなどについて、同組織内でしっかりと管理し利用することができます。

 

人員面においては、医療という1サービスを全体として眺めて、病院等相互間の機能の分担及び業務を連携させることで、スタッフや部門が取り扱う医療サービス部分を統合したり細分化して、法人経営上、あるいは機能上でも効率よくいきわたらせるものです。

 

また介護サービスなども含めた連携を可能することで、多少の遠隔地であっても、入院から在宅、安心できる通院加療などに切り替える、あるいは、見守り等頻繁なスタッフの行き来やケアを、これまでは往診やあるいは通院で行っていたところケアのなかに付加あるいは分担することで、情報や状況の統合をはかり、患者本位の体制を確かにしていくもの…である側面も、無くはありません。

 

一時かなり開業盛んだったケアビジネスや、また廃業の多かった病院・診療所などをまとめて、その設備などを維持させたりといった「廃業前に地域のどこかが受け皿となり、まだ使えるうちに地域内での機能の継承を進めることを可能、経営体制のみならず、サービスや施設機能、医師の交代そのものを、患者にとっても院内リソースや患者情報や対応上からもスムーズに行うとする」という点では、比較的柔軟な制度新設です。

 

またその介護サービス等事業者にも医療法人等からの出資を行うことができ、場合によっては、医療行為に該当するものを除いたサービスや機能内容の内部的ふりわけなどを行うことでの、個別の組織の分業状態を保ったままの維持も可能となります。

 

■経営状態の透明性確保や組織変更を視野に入れた整備

・一定以上の医療法人の経営透明性確保においてPL BSの採用、監査、公告などを実施することで、経営の安定性や透明性の証明などを確保する形が導入されます。

・医療法人分割などに関する規定が整備されます。
あまり地方部では期待されませんが、都市部などで飽和状態にある、準 大病院などの機能分化や暖簾分け風分院などがこれにより可能となります。

 

既に現行で、新たな近隣設備取得などで用地面など難しくなっているケースなどにおいて、すこし地域的にあらたな土地にといったあたりを想定されているところが仮にあるとすれば、利用できる可能性もあります。

 

・社会医療法人制度については、複数県などでの開業がある場合において、そのかかる1県の都道府県知事だけで認定が可能となります。
かつて経営難から民間売却された病院などが多い時代もありましたが、住民数回復で社会医療法人化するに見合った状況が生まれれば、本制度で社会医療法人化などを図ることも容易になります。

 

これらにより、本当に大型の病院などでキャリアを積みたいと考える人員の、定住型確保などにつながればという期待があります。

 

■全体としては、移転で人口減等の地域に対しての、経営統合型制度

地方部はこちら側ではどの地域でも、医療系の優秀な人材確保や社会経済状態は難しく、医療機関や自治体倒産などを視野に入れて、その地域の高齢者を支える医療機関を幾分の機能や設備集約を用いることで、主として民間等により少しでも長く維持して頂きたい…という分担型制度ともいえるかもしれません。

 

廃止などは決定事項であるということもあり、通院高齢者にとっては、通院から、病院経営の効率性のみを重視してのケアサービスなどへの移行が進むのではないかといった懸念もすでに報道他で言われている通りです。