日本一の弁護士を目指す法律系ブログ

法律や昨今の弁護士事情について勝手気ままに書き綴る弁護士を目指す男のブログだと思う。

自動車事故の加害者が負う責任

クルマ社会ともいえる現代。自動車は、多くの人が運転するものとなっています。その反面、運転をする人は誰でも、自動車事故の加害者となる可能性があります。

 

そこで、自動車事故の加害者となったときに負う責任について見ていきましょう。

 

1つ目は、行政上の責任です。

これは、運転者の運転免許に対するものです。公安委員会が事故の程度に応じた点数をつけ、その点数が一定以上になると、運転免許の停止や取り消しを行います。例えば、ひき逃げなどは35点、物損事故や被害者がごく軽傷の人身事故などは、2点というように、点数には、運転者の行為の悪質性や被害の程度が考慮されています。

 

2つ目は、刑事上の責任です。

刑法に書いてある○○罪というものです。自動車で人身事故を起こした場合、運転者は、業務上過失致死傷罪(刑法211条)となります。最も重い場合は、5年以下の懲役または禁錮となります。

しかし、罰金刑で終わる場合が多く、人身事故のおよそ9割が罰金刑であるといわれています。また、懲役刑の判決が出たとしても、執行猶予がつけられることが多く、実際に懲役・禁錮刑に服することは多くありません。運転者が、交通事故を起こしても、あまり重い刑罰が科されないのはなぜでしょうか。それは、自動車事故は過失(うっかり)であって、故意(わざと)でないということが挙げられます。また、自動車事故を重く処罰しすぎると、人々が運転することをためらうようになってしまい、結局、社会生活が不自由になってしまうという理由も挙げられます。

 

3つ目は、民事上の責任です。

民法や自動車損害賠償保障法に基づく責任です。事故を起こした運転者が、被害者に対して損害をお金で賠償するというものです。損害は、財産的損害と精神的損害に分かれます。よく慰謝料という言葉を耳にしますが、慰謝料とは、精神的損害(精神的苦痛)に対する賠償のことです。

 

一方、財産的損害は、積極損害と消極損害に分かれます。積極損害とは、交通事故に遭ったため、被害者が支出しなければならなかった費用のことです。怪我等の治療費や病院までの交通費などがその例です。

 

消極損害とは、被害者が交通事故に遭わなければ、得られたであろう利益です。休業損害(事故のための休業が無かったら、得られたであろう利益)や逸失利益(事故による死や後遺症がなければ得られたであろう利益)が消極損害に含まれます。