日本一の弁護士を目指す法律系ブログ

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ペット飼育にかかる法律

年末年始や入進学シーズン、プレゼントにペットをなどとお考えのご家庭も多いものです。

 

子供の情操教育などに、たしかにとても有意義といわれており、その世話やかかわりあい、しつけなど学べることは数多いといわれています。

 

ペットを飼い始めるなら、普段あまり意識はしない事柄ですが、ペットや野生動物に関係する法律もあわせてすこしずつ教えてみてはいかがでしょうか?

 

小さなときに覚えているそれらの項目から、居住地、そして野生動物保護まで、身を以てその制度と人や動物とのかかわりあいを成長につれ体得させることができる機会にもなります。

 

また、制度によるとりあつかいなどやその理由を少しずつ知ることで、もっと広い世界の動物などへの興味の動機付けにもつながります。

 

そこで今回は、普段あまり注意して眺めることも少ない、動物やペット飼育に関する法律についてご紹介します。

 


■動物の保護及び管理に関する3法

通常一般が想像する動物にかかる法令としては、次の3つがあります。

1:鳥獣関連の法令としては1873年の「鳥獣猟規則」、1895年の(旧)狩猟法及び1918年に施行され改正(1963年)が続けられてきた「鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律」に由来する、2002年の口語化された「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」


現在では野生の鳥類と哺乳類を対象としている。また2014年の改正では、駆除や猟銃使用等に伴う一部緩和など、これまでの鳥獣の保護活動のみならず、駆除等による適正数確保等の法整備がある。(海にすむ哺乳類やネズミ、モグラなどが近年の追加された保護対象)
(略称:鳥獣保護法、狩猟法)


2:1973年に「動物の保護及び管理に関する法律」の制定後、その後動物やその管理取り扱いなどにつき1999年、2005年、2013年の改正を経たもの。
飼育動物の管理や愛護を定めたもの、また動物に関する記念週間(昭和2年の動物愛護週間に由来する)などを法制化したもの
(略称:動物愛護法)


3:外来生物の持ち込みやその規制等に関する法令としては、2004年の「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」
対象となる生物の、個体、卵、種子、器官にかかる飼養、栽培、保管、運搬、輸入等について規制と、必要に応じて国や自治体が防除などを行うことを定めたものと、対象種などの指定リスト化(関連:特定外来生物の指定リスト)と(略称:外来生物法、外来種被害防止法 )

順に代表的な項目を見ていきます。


■1:鳥獣保護法、狩猟法
<鳥獣保護法に相当する部分>
保護繁殖を図るために指定される区域(「国指定鳥獣保護区」)の規定。
鳥獣の捕獲等又は鳥類の卵の採取等の規制や、捕獲・採取した鳥獣及び鳥類の卵の放置の禁止等の規定。
特別に許可を得て捕獲された鳥獣の飼養、販売等の規制など、また輸出入や販売規制等の定めがあります。

 

<狩猟法に相当する部分>
ここでは狩猟対象となる鳥獣と、その免許について指定しています。狩猟対象となるエリアや動物数などが猟区設定者によって管理されており、対象動物も、法で決められている動物の中からある程度指定されています。

 

たとえば鳥類ではカルガモ、マガモ、キジ、ヤマシギ、カラス、雀、ライチョウなど30種近くがあります。哺乳類ではユキウサギ、ノウサギ、キツネ、タヌキ、ミンク、イノシシ、ヒグマ、ハクビシン、シマリスなど他20種ほどがあります。

 

また農作物被害などでの駆除対象動物や環境衛生に障害を与える鳥獣、に対しての規制対象外の規定などがあります。他に、他法令により適切な保護管理されている鳥獣への適用除外規定などがあります。

 

狩猟に関しての危険防止としての猟具類や猟法の制限、日出前及び日没後の禁止等詳細の定めなどのほか、狩猟免許の規定があり、網猟免許、わな猟免許、第一種銃猟免許、第二種銃猟免許等で、免許取得者のみが狩猟をおこなうことを許可されています。その際には、狩猟税を納め、都道府県知事の登録を予め受ける必要があります。よく知られているわな猟などでも実際は指定区域や免許登録などが必要なので、注意が必要です。


■2:動物愛護法

ペット飼育=命について知ることにかかるものとして良く知られる「国民の間に動物を愛護する気風を招来し、生命尊重、友愛及び平和の情操の涵養に資するとともに(第1条)」は本法にあります。

 愛護動物対象には、明確な規定があり、
・牛、馬、豚、めん羊、やぎ、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと及びあひる
・「人が占有している動物で」哺乳類、鳥類又は爬虫類に属するもの
があります。

 

よくTVなどで自宅から脱走したペットニュースなどの報道がありますが、「明らかに人が占有している動物であっても両生類以下の脊椎動物と無脊椎動物」の場合、かなり大型の場合でも、適用外となります。
そのために、熱帯魚や変わった魚の落し物などについては、「モノ」扱いでの報道となっており、錦鯉などの不審死は故意に殺傷されても”器物損壊罪の疑い”としかならないとことが多いようです。また動物取扱業者などを規定しています。

 

よく飼育小動物についての動物の登録制度や、飼育環境の細かい指定などがありますが、とくに規制対象の爬虫類等や規制対象外来生物等、他法で規定されているもの(犬等)を除けば居住する自治体や、その地域、建物等などでの指定あるいは規定があるものです。


■3:外来生物法
「日本の本来の域内生態系ではない」外来の生態系、人の生命若しくは身体又は農林水産業等に係る被害を及ぼし、又は及ぼすおそれがあるものとして政令で定めるものの個体や器官(卵、種子その他政令で定めるものを含み、生きているものに限る。)を持つもので、規制・防除の対象とするものを、「特定外来生物」として指定し、その取り扱いを規定しているものです。

輸入、譲渡、放出の禁止や、国などによる駆除等、輸出入判定や届け出の規定があります。動植物などがともに含まれます。


■その他
・遺失物法
魚などのように明らかに放たれている場合ではないもの、単に逃げ出したペットや家畜であると推測される動物は「遺失物法第4条」により飼い主に返還するかもしくは警察などに「拾得物」として届け出なければならないとされています。

 

馬や牛などの場合もありますが、届け出られた動物は、通常、定められた期間内、署内や管理可能な施設などで面倒が見られていることがあります。おこの関連項目に関しても遺失物法に規定があります。

 

・軽犯罪法
第一条  左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
十二  人畜に害を加える性癖のあることの明らかな犬その他の鳥獣類を正当な理由がなくて解放し、又はその監守を怠つてこれを逃がした者
三十  人畜に対して犬その他の動物をけしかけ、又は馬若しくは牛を驚かせて逃げ走らせた者

 

・狂犬病予防法
第四条  犬の所有者は、犬を取得した日(生後九十日以内の犬を取得した場合にあつては、生後九十日を経過した日)から三十日以内に、厚生労働省令の定めるところにより、その犬の所在地を管轄する市町村長(特別区にあつては、区長。以下同じ。)に犬の登録を申請しなければならない。ただし、この条の規定により登録を受けた犬については、この限りでない。

2  市町村長は、前項の登録の申請があつたときは、原簿に登録し、その犬の所有者に犬の鑑札を交付しなければならない。

3  犬の所有者は、前項の鑑札をその犬に着けておかなければならない。
第五条  犬の所有者(所有者以外の者が管理する場合には、その者。以下同じ。)は、その犬について、厚生労働省令の定めるところにより、狂犬病の予防注射を毎年一回受けさせなければならない。
 


■まとめ

この10年少々の間に大きく様変わりした項目も多いので、年末年始や卒業入学シーズン等、新たにペットを迎えようと思っているお子様やご家族と一緒に、またご家族におりにふれ説明する予習としても、新たに、動物にかかる法令や判例につきまとめて振り返ってみるのも、良いかもしれません。