日本一の弁護士を目指す法律系ブログ

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工業所有権に関連しての2015各国版出願制度等

TPP対応でこれまで輸出業務など行ってきていないところでも、新たに取り組む輸出、また他国商標や技術などからの防御の意味でも、工業所有権関連の見直しを進められているところも多いようです。

 

これまでとはことなる対応ポイントなどもあるため、主要な取引関係国について、その法制度の基本の申請や保護期間の違いなどをまとめてみました。

 


■外国出願(特許・実用新案・意匠・商標)について

外国出願に際しては、国内だけで出願しても、その効果は国内のみだけとなります。そのため、それぞれの国に出願する必要がありますが、個別に各国に出願することで事務を煩雑化させるよりも、国際条約の締結国経由での仕組みを利用した出願を行われる方がほとんどです。
 

■パリ条約を利用した国際出願

パリ条約は、現在では約160か国が加盟している、知的財産全般に関する国際条約で、次のような手続きや解釈の統一性を図る性質のものです。

 

・優先権:各国向け出願に際して、「自国での同内容の出願に基づいてその日に加盟各国でも提出したものとして取り扱う」もの
特許と実用新案は日本出願より12か月以内、意匠と商標は日本出願より6か月以内である
・内国民待遇:同盟国で、自国民と外国人出願を差別しない

・特許独立の原則:各国の特許出願は独立して審査され、ある国での無効消滅に伴って他国特許も同じ扱いとなることはないというもの。
また出願日の制度などは同一だが各国の審査条件は異なっているため、日本で拒絶されたものが、アジア各国などでは通るケースなども有る。

 


いずれも日本で出願したあと、特許であれば、
PCT(特許協力条約)
もしくは
EPC(ヨーロッパ特許条約)
による出願。

また商標であれば
マドリッドプロトコルマドリッド協定議定書
もしくは
ヨーロッパ共同体商標
による出願。


締結国であれば、基本的には、それぞれの出願につき3つの方法が選択できると覚えておいてください。


■特許
PCT利用では、日本1国への出願に基づいて国際調査などが行われ、権利取得を行う国へ移行させるという制度で、煩雑さが少ないこと、予め特許の取得がある程度可能かどうかといった調査などを経てのために、個別各国向け作成などに比べ、費用が比較的抑えられるといった利点などがあります。

 

またPCT締約国では完全に制度が各国で一致しているわけではないため、出願により各国特許のみが取得できる、各国特許と広域特許が取得できる、広域特許のみが取得できるなど取り扱いがいろいろと別れています。

 

国内段階移行手続きの取り扱いに関しても、追加手数料などで国内移行段階期限を延ばすことのできる国なども有り、広域特許取得などとの周辺国との兼ね合いで、全体の出願管理上も有利な部分も多くあります。


■商標
輸出輸入の増加が見込まれる場合、通常まず取り組むのが、企業では商標関連の見直し整備といったところも多いものです。

主要各国の商標に関する制度、保護期間などの注意すべき点をまとめています。


この中でも特に、米国カナダでは、使用主義が採用されており、中でも米国では、登録の有無によらず、「使用の実態」そのものが裁判等においても優先されます。

また、中国の商標制度は、各国からの指摘などを反映させ、現在登録済み商標に関しては、子会社などグループ内利用であっても、届け出が必要などの運用となっています。

 

■まとめ

今後取り扱われる方向けに、簡単に、国際出願出願の各国の違い一覧をご紹介しました。

 

TPP参加に伴い、更に制度整備を進めている国なども多いことから、関連官庁などの情報収集が欠かせない分野です。