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交通事故の企業損害について

会社の従業員が交通事故に巻き込まれて、会社の売り上げに損害が出てしまう場合があります。特に専門的な技術を持った従業員や会社の売り上げに貢献している人材なら、被害も大きくなるでしょう。


このような交通事故が原因で会社が被害を受けることを企業損害と言います。そして、企業は損害を加害者に対して請求することが可能です。損害が出ているのだから請求するのは当然と考える人も多いと思いますが、実はそう簡単な話ではないのです。


企業損害は明確に交通事故が原因で売り上げが低下したのを証明しなければならないのです。例えば調理師が怪我をしてしまい、料理の質が下がったせいで売り上げが落ちたとして企業損害を請求したとしましょう。


これが100%認められるか言うと、どうなるかは状況次第となってしまいます。まず、調理師が怪我をしたから売り上げが落ちたのかどうかの因果関係がはっきりしていないのです。


元々お店の料理がまずかった可能性がありますし、店員の態度が問題で売り上げが落ちた可能性もあるでしょう。他の可能性が考えられる以上、調理師が交通事故にあったのが企業損害になったのかは断定できません。


そのため、本当に因果関係があったのかを調査することになります。因果関係が認められれば企業損害は請求できますが、認められないことが多いようです。


この企業損害が認められるケースとしては、非常に小規模な会社で、かつ売り上げを稼いでいる人が、代替性の無い仕事をしている場合です。夫と妻の2人で会社を運営しており、陶芸家の夫が仕事で何も作れなくなった、このような場合は企業損害が認められる可能性が高くなります。


このケースだと小規模な会社で、被害者が売り上げを稼いでおり、他に代われる人が居ないからです。大規模な会社の従業員が怪我をしただけでは、企業損害は認められにくいので覚えておきましょう。


しかし、交通事故で運転ができなくなった従業員の代わりに代行業者を利用した代金が企業損害として認められた判例もあります。


何が認められるかは断定できないため、会社に金銭的な被害が出たら弁護士に相談してみると良いでしょう。