日本一の弁護士を目指す法律系ブログ

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財産分与の対象になる財産とならない財産

離婚とはお互い別々の道を歩くための手続きであり、その際にはこれまでの生活の一切を清算する作業が必要になるため非常に労力を使います。

 

その中ではこれまで夫婦で協力して築いてきた財産の一切を双方の応分に従って分割処理する財産分与が含まれます。

 

この作業では現預金だけでなく有価証券や不動産なども含まれますが、夫婦双方が所有する全ての財産や資産が分割の対象になるわけではありません。分割の対象になる財産とならない財産を見てみましょう。

 


■財産分与の対象になる財産

夫婦が婚姻してから取得した財産の内、夫婦双方がその財産の取得に何らかの形で貢献した財産が対象になります。



例えば会社から貰う給料は妻が専業主婦でも内助の功で夫の稼働力を高めた為に得られた財産ですから妻にも取り分があります。



その給料を基にして購入した家具や有価証券、不動産なども対象になります。金銭が形を変えて別のものに変化しただけで、購入するための原資はやはり共同して築いた給料だからです。


概念的に難しいかもしれませんが、その財産の取得に何らかの貢献があったか?と考えると理解できると思います。



■財産分与の対象にならない財産

反対にその財産の取得に片方配偶者が貢献しないものは他方配偶者の固有財産となり分与の対象から外れます。

 

例えば婚姻前でも婚姻中でも、どちらかが相続や贈与という形で取得した財産は分割対象外です。

 

なぜなら他方配偶者はその財産の取得に何の貢献もしていないからです。

 

相続は人の死という偶然発生的作用によって、贈与は財産を送る人の自由意思によってされるものであり、片方配偶者の貢献はありません。

 

そして同じ理由で婚姻前から所有していた財産も分割の対象外です。その財産を婚姻後に共同生活する家に持ち込んでも同じです。どちらにしてもその財産の「取得」の過程には相手配偶者の貢献が無いからです。

 

夫が婚姻前から使用していたテレビを婚姻後に夫婦生活で使用していた場合は、そのテレビは夫の固有財産であり分割の対象外になるのです。

 

また例外としては個人で使用する衣服や備品も分割対象外です。その購入には共同資産である給料から資金が捻出されているとしても、あまりに軽微なものまでは含む必要はないとされるからです。

 

Tシャツ一枚も分割するのではちょっと現実的ではないですからね。