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警察官の法律

Q:警察組織の管理や運営を規定する法律が警察法であるなら、警察官がその業務を遂行する上で、基準とする法律はなんでしょうか。

 

警察官職務執行法です。

 

警察官職務執行法とは
警察官職務執行法とは、警察官が警察法に定められている法律に準拠して、その責務を果たすための手段を定めた法律です。警職法とも呼ばれています。

 

ちなみに警察法の1条1項には下記のように記されています。

 

「個人の生命、身体及び財産の保護、犯罪の予防、公安の維持並びに他の法令の執行等の職権職務を忠実に遂行するために、必要な手段を定めることを目的とする」

警職法はこの第一条から第八条まであります。

 

 

以下簡単にご紹介します。

 

第二条 
警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知つていると認められる者を停止させて質問することができる。

 

⇒これは職務質問に関する規定ですね。職務質問に答えるのは任意と言われていますが、それは刑事訴訟法に絡まない場合だけです。暴れたり逃げたりすれば、警察官は強制力をもって任務を遂行できますので、派出所、もしくは警察署に連行される可能性もあります。

 

 

第三条  
警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して次の各号のいずれかに該当することが明らかであり、かつ、応急の救護を要すると信ずるに足りる相当な理由のある者を発見したときは、取りあえず警察署、病院、救護施設等の適当な場所において、これを保護しなければならない。


⇒これは警察官は保護や救護の人がいるにもかかわらず見捨ててはいけない、という規定です。

 

 

第四条  
(避難等の措置)

 

⇒第四条は全文が長いため割愛しますが、要は天災や交通事故など危機が迫った状態において、警告したり、避難の指示を出したり、あるいは被害に遭う危険性のある人を止めたり、そこに行かないように命令を出したりできるという意味です。

 

第五条  
警察官は、犯罪がまさに行われようとするのを認めたときは、その予防のため関係者に必要な警告を発し、又、もしその行為により人の生命若しくは身体に危険が及び、又は財産に重大な損害を受ける虞があつて、急を要する場合においては、その行為を制止することができる。


⇒犯罪の防止ですね。その場に居合わせたら身体を張ってそれを止めなければならないという規定です。

 

第六条  
警察官は、前二条に規定する危険な事態が発生し、人の生命、身体又は財産に対し危害が切迫した場合において、その危害を予防し、損害の拡大を防ぎ、又は被害者を救助するため、已むを得ないと認めるときは、合理的に必要と判断される限度において他人の土地、建物又は船車の中に立ち入ることができる。

⇒これが認められているので、たとえば建物のドアを壊して中に入ったりなど、合法的に物を壊せます。

 

 

第七条  
警察官は、犯人の逮捕若しくは逃走の防止、自己若しくは他人に対する防護又は公務執行に対する抵抗の抑止のため必要であると認める相当な理由のある場合においては、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度において、武器を使用することができる

⇒これは武器の使用を認める規定です。

 

第八条  
警察官は、この法律の規定によるの外、刑事訴訟その他に関する法令及び警察の規則による職権職務を遂行すべきものとする。
⇒つまり警職法以外の範疇でも合法的にその職務を遂行するに足る理由づけが規定されています。


まとめ
警察官職務執行法は職権職務を忠実に遂行するための法律です。目的を逸脱し、過度にその権利を乱用すると職権濫用となり、法律で裁かれます。警察官だからと言って何でもやっていいわけではありません。